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10月も下旬に差し掛かり、一気に冷え込んできた昨今ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
秋といえば「読書の秋」と言われますが、私は
最近、学生時代によく読んでいた伊坂幸太郎の小説を朝の仕事前や昼休憩の時間を利用して読んでいます。
いま読んでいるのは「モダンタイムス」です。
システムエンジニアの主人公が、失踪した先輩から、ある出会い系サイトの仕様変更という仕事を引き受ける。そんな中で、そのサイトと特定のキーワードを同時に検索したことで、次々と不幸が襲いかかる…という粗筋です。
ネタバレになるので内容はさておき、この小説の中で、1つ心に残った言葉がありました。
「人生は要約できない。」
『人ってのは毎日毎日、必死に生きてるわけだ。つまらない仕事をしたり、誰かと言 い合いしたりそういう取るに足らない出来事の積み重ねで、生活が、人生が、出来上がってる。だろ。ただな、もしそいつの一生を要約するとしたら、そういった日々の変わらない日常は省かれる。結婚だとか離婚だとか、出産だとか転職だとか、そういったトビックは残るにしても、日々の生活は削られる。地味で、くだらないからだ。でもって、「だれそれ氏はこれこれこういう人生を送った」なんて要約される。でもな、本当にそいつにとって大事なのは、要約して消えた日々の出来事だよ。子供が生まれた後のオムツ替えやら立ち食いソバ屋での昼食だ。それこそが人生ってわけだ。』
伊坂幸太郎「モダンタイムス 上」 P.202
人生を年表にしたときに抜け落ちた、1つ1つの行動や会話、たとえそれが人生において取るに足らない出来事だとしても、その人にとって人生の大事な一部分だと言うことですね。
これは、大工仕事においても同じことが言えます。
完成してしまえば見えなくなるような、ちょっとした一手間であっても、それを欠かせば成り立たなかったり、仕上がりに差が出たりします。
「このくらいいいだろう」と手を抜いたがために後で苦労するようなことも往々にしてあります。
工期との兼ね合いもありますが、どんな状態であれ、プロである以上は追求していかなければならない部分だと思います。
親方やベテランの先輩方はそういった術をたくさん体得しています。
この5年で、大工仕事の基本は一通りやってきたので、今後はそういった部分を突き詰めていくことが求められます。
正直やりたくないな、面倒くさいなと思う作業もありますが、経験したこと全てがいつか必ず役に立つはずです。成長するためには「要約」してもいいことなどないのだと気付かされました。
また今日から新しい現場が始まりますが、1つ1つを大事に取り組んでいきたいと思います。